M&A仲介とFA。その違いを改めて考える
こんにちは。堀之内総合会計・労務事務所代表の堀之内です。
2026年9月14日、M&A仲介をめぐる報道がありました。
M&A仲介最大手「不適切事案」隠して対策逃れ 社員は解雇処分に(朝日新聞) - Yahoo!ニュース
今回の報道を受けて、改めて考えたいのが、M&Aにおける「仲介」と「FA(ファイナンシャルアドバイザー)」の違いです。
両者の基本的な違いについては、以前のコラム「M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)とは?(仲介との違い)」で解説しています。
コラム第9回は、上記の内容を踏まえ、少し堀り下げて考えてみます。
仲介方式の特徴
仲介は、売り手と買い手の双方の間に立って、M&Aを進めていく方式です。
仲介には、双方を一つの窓口で支援できるため、合意形成や円滑な成約を図る上で大きなメリットがあります。
しかし、売り手と買い手の利害が異なる場面では、利益相反の可能性が生じます。
双方の間に立つ一人の支援者が、どちらか一方の当事者の利益を追求することはできません。
また、「双方をマッチングし、M&Aを成立させる」という構造に、成約報酬という仕組みが加わることで、案件の成約に対して強いインセンティブが働くことになります。
その結果、M&Aのプロセスの中で課題や問題が生じた際に、それを適切に報告・共有するよりも、成約に向けて案件を進めようとする方向に力が働く可能性があります。
今回報道されたような事案につながりかねない構造上のリスクは、こうした点にもあるのではないでしょうか。
FA方式の特徴
一方、FA方式は売り手または買い手の一方の側に立ち、その依頼者の利益を考えて支援するモデルです。
売り手には売り手のFA、買い手には買い手のFAがつき、それぞれが自らの依頼者の立場から確認し、必要な交渉を支援します。
例えば、M&A後の経営者保証についても、売り手側のFAであれば、「経営者保証は本当に外れるのか」「売り手にリスクが残っていないか」という視点から、確認することになります。
また、依頼者にとってM&Aそのものが適切ではないと判断すれば、「この条件では進めない方がよい」「M&Aを中止する」という選択肢を提案することもできます。
FAにもデメリットはある
もちろん、FA方式にもデメリットがあります。
売り手と買い手それぞれにFAがつくため、それぞれのFAが依頼者の利益を考えて支援することになります。
そのため、条件について意見が対立すれば、双方の利害調整に時間がかかり、M&Aの進行そのものが遅くなることもあります。
また、仲介方式と同様に、FA方式でも成約報酬が設定されることは一般的であり、成約に向けたインセンティブが働くことはあります。
自社にあった支援方式の選択を
仲介にもFAにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
仲介だから問題、FAだから安心という単純な話ではありません。
大切なのは、経営者自身がそれぞれの方式がどのような構造であるかを理解したうえで、 自社にとってどの支援方式が適切なのかを選べることだと思います。
当事務所は、M&Aを成立させることだけを目的とせず、依頼者の側に立って、会社のこれからを一緒に考えます。そのために、第三者承継・M&Aでは FA方式での支援を原則としています。
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