息子に「会社は継がない」と言われた社長がすべきこと【後編】― 待つ間にすべきこと
こんにちは。堀之内総合会計・労務事務所代表の堀之内です。
前回のコラム第5回では、「会社を継がない」と言った息子を、経営者はいつまで待つべきなのかについて考えました。
息子が将来戻ってくる可能性を残すとしても、それは「何もしないで待つ」という意味ではありません。
では、待っている間に具体的に会社はどういった備えをしておけばよいのでしょうか。
事業承継の準備を考えるとき、誰に会社を引き継ぐのかによって、会社を整える方向が変わります。
親族内承継の場合
親族内承継では、株式を次の世代へ移すことになります。
その際には、株価や相続税・贈与税なども考慮しながら、 後継者となる親族の資金負担をできるだけ抑え、円滑に株式を移していくことが重要になります。
例えば、役員報酬や退職金などを含め、後継者の資金負担や会社の財務状況がどのように変化するのかをシミュレーションすることも必要になります。
第三者承継の場合
一方、第三者承継では、譲受側から会社の状況を評価されることになります。
そのため、財務内容や収益構造をより強固なものにしておくことが重要です。
営業損益のマイナスが続いていれば、当然、会社の収益力に対する印象は良くありません。
また、第三者承継では財務・税務・労務などのデューデリジェンスが行われるため、そこで問題が見つかれば、譲渡条件や価格に影響し、場合によっては承継そのものに影響することがあります。
つまり、第三者承継では、本来の会社の価値よりも低く評価される要因を、あらかじめ取り除いておく
という視点が重要になります。どちらの承継でも、会社を整えることは必要
もっとも、親族内承継と第三者承継で、すべての準備が異なるわけではありません。
- 不要な経費支出を見直す
- 会社と経営者個人の資金のやり取り(例えば役員貸付金)を整理する
- 未払残業の有無の把握・清算など労使関係の問題を解消する
- 就業規則を整備する
こうした取り組みは、第三者承継のためだけに必要なものではありません。
息子が戻ってきて会社を継ぐことになったとしても、会社の財務や労務が整理され、経営者への過度な依存が解消されていることは、後継者にとって大きなメリットになります。
「待つ時間」を会社を整える時間にする
これらの準備は、一朝一夕にできるものではありません。
だからこそ、「息子が戻ってくるかもしれない」と考えて待つのであれば、その時間を何もしない時間にするのではなく、会社を整える時間にしておくことが重要です。
息子が戻ってくれば親族内承継へ。
戻ってこなければ、従業員承継や第三者承継へ。
どの道を選ぶことになっても対応できる会社にしておく。
誰が引き継いでも良いように、より魅力的な会社にしておく。
それが、後継者がまだ決まっていない会社にとって、目指すべき準備のあり方ではないでしょうか。
事業承継は、その時になってから準備するものではなく、時間をかけて会社を整えながら、来るべき時に備えていくことが重要です。
当事務所では、親族内承継や第三者承継など、出口戦略の支援だけでなく、そこへ向かうまでの財務・労務を含めた社内管理体制の整備についても支援しています。
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